美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　曹洞宗大本山 永平寺の門前にある、手打ち蕎麦のお店です。「元祖手打そば」と看板を掲げているだけあって、食べる前から誰もが期待してしまいます。その期待を裏切らない、さっぱりとした越前おろし蕎麦を召し上がれ！ 

　店の外観は土産物屋のようですが、店内に入ると中央に打ち場が、右手奥に客席があって蕎麦屋であると分かります。打ち場の奥にも座敷があります。

　打ち場では女性スタッフ（店主の娘さん？）がちょうど蕎麦を打っているところでした。太めの麺棒を巧みに使って、四角く延していました。福井県産の粉を使った二八とのことです。

　客席に向かうと、あいにくの雨模様でしたが、昼１２時ということもあって何組か入っていました。ほとんど観光客です。客席部分の内装は昔のスナックや喫茶店を感じさせます。 

せっかく福井県に来たのですから、越前の郷土蕎麦である「おろしそば」を頂くことにしました。温かい蕎麦も可能だそうです。「にしんそば」、「山菜とろろそば」、「永平寺そばセット」（天ぷら蕎麦：温＋なめこおろし蕎麦：冷＋ごま豆腐：小）などもあります。 

　蕎麦の太さは太すぎず細すぎず、蕎麦の香りは少なかったものの、コシは強く滑らかな喉越しでした。辛味の大根おろし、かつお節、ネギが蕎麦の上にのっており、かつお出汁の効いた冷たい蕎麦つゆがかかっています。いわゆる、ぶっかけです。冷たい蕎麦と大根おろしで口当たりがさっぱりとしており、とても美味しかったです。
　蕎麦つゆはやや濃いめで、大根の辛味とのバランスも良好でしたが、個人的な好みとしてはもう少し濃くても良いかなと感じました。

　最後に蕎麦湯をお願いしました。蕎麦粉を溶いていない、半透明のあっさりとしたタイプの蕎麦湯でした。冷たい蕎麦を頂いた後の温かい蕎麦湯、これもまた美味しいものです。 

　蕎麦の値段については、街中のお蕎麦屋さんとは異なり、正直なところ観光地価格のように高く感じます。しかし、店内で実際に蕎麦打ちする手打ち蕎麦の雰囲気を味わいながら、福井の郷土蕎麦 越前おろし蕎麦を手軽に楽しめることを考えるならば受け入れられる値段だと思います。永平寺をお参りした折には、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。