美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　避暑地で有名な長野県軽井沢町に国内産の香り豊かな蕎麦を使った上品な蕎麦を出すお店「丸留井」がある。軽井沢町は夏の間は観光客が多いのでなかなか近づくことができないが、9月に入り、涼しい高原の風の訪れとともに、ようやく普段の落ち着きを取りもどしたので訪問した。

　軽井沢の18号バイバス沿いに蕎麦の大きな文字、入口には収穫した蕎麦の実とゴミとを分ける古い唐箕が置かれている。入口を入ると男性スタッフが案内してくれた。正面に座敷、奥の離れにテーブル席が10席ほどある。離れのテーブル席には窓からの軽井沢の気持ちのいい風が入ってくる。

　メニューを見て天ぷらそばを注文した。こちらの店長はもともとすし職人であり、蕎麦打ちだけではなく、天ぷらなどの和食料理も得意である。

　まずは蕎麦を揚げた揚げそばが箸休めで運ばれてきた。ほどなく天ぷらそばが運ばれてきた。運ばれてきたざるそばの上には刻み海苔がかかっている。国産手打ちそばを提供する蕎麦屋さんは蕎麦の香りを楽しんでほしいからか、海苔をかけないお店が多くなってきているが、すし職人だけあって、こだわり海苔を使っているとのことである。

　蕎麦は角の立った透明感のある蕎麦である。産地は地元長野県をはじめ埼玉、茨城、山形、北海道とその時に一番おいしいものを使っているという。長野県であまりまだない、そばの殻を取り除いた丸抜き脱皮された蕎麦の実を製粉したそば粉を使った上品な蕎麦である。サクサクにあがった天ぷらを楽しみながら、蕎麦を啜れば清涼感が込み上げてきた。

　冬には揚げもちをトッピングしたかけそばが私のおすすめである。ごちそうさまでした。