九州の豊後高田市は、町おこしのために"昭和の町"を創り、観光客を多く呼び寄せている。
また、そば生産にも力を入れていて、豊後高田そばのブランドを確保しながらの消費までを考え"豊後高田産手打ちそば認定"なるものを、要件(①豊後高田そばを使用すること。②手打ちであること。③三たてを守ること。)を満たした店に与える等、市を上げた活動をしている。これらの活動は、行政にありがちな机上のプロダクトアウトの構想から行ったのではなく、実際に地、街、人を観て、解析し、実行した賢明な政策だと感じる。
昼食処を探しながら"昭和の町"を散策していると北の外れまで来た。空腹から腕時計を見ると13:30を示している。目線を前方へ上げると、のぼりに"そば"の文字が見える。「そば屋はどこにあるのだろう?」目を凝らすが見当たらない・・・「不思議なことだ」と引き返そうとしたその時、のぼりに書かれた"ふしぎ庵"の字が目に入り、その先の建物に掲げられた"ふしぎ庵"の文字と一致する。
「そば屋でふしぎ庵?」「大丈夫だろうか?」と疑念が浮かぶ。しかし店の前には市の免許皆伝「豊後高田産手打ちそば認定店」の立て看板がある。「間違いのないそば屋だろう」と判断して入店する。
入口を入ると正面に階段があり、左右にガラスの引き戸がある。店は右の扉の奥にあるようだ。そこを開けて中に入る。昼食時をとうに過ぎた時間ではあるが、先客1組3名が座っている。私は入口近くの2人用テーブルに座る。若い男性がそば茶を給仕しながら注文を取りに来る。給仕が戻る前に、品書きから "もりそば" を注文する。
注文を済ませたことでゆとりができ、ゆっくり店の中を観察できる。昭和の町にふさわしい、昔の雰囲気があるが、そば屋の雰囲気はない。入口の左側の扉の向こうにも客室があるようだ。覗いてみると、応接セットの低い椅子にテーブルが2セット置かれている。
そうこうしているとそばが届く。見た目は切りが荒く不揃いだが、角は立っている。そばを2本箸で取り、何もつけずに口へ運ぶ。腰があり、立っている角がわかる。九州のそばにありがちなモチモチさが少ない。
汁を口に含む。九州そば汁特有な甘さは少ない。と言って、醤油が立っているかというとそうでもない。あっさりとした汁だ。そばを浸ける量は、取ったそばの丈の"1/2"~"2/3"と判断する。食べ始めたら一気に完食。
会計時、店主に「ふしぎ庵」の名の由来を聞くと、「かつて造り酒屋であった頃の屋号だが、その由来までは分からず、"謎"」とのことであった。心が晴れぬまま店を出た。店構えの写真の撮り忘れに気づき、数枚撮影して豊後高田を後にした。
あとでこの店構えの写真を確認すると、全てに何とも不思議な光が写り込んでいた。なるほど、この場所には何か不思議なことが起こるから、古く屋号に「ふしぎ」を付けたのだと勝手に結論付け、心が晴れた。
店名 | 手打ちそば ふしぎ庵(豊後高田市) |
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電話番号 | 0978-22-2731 |
住所 | 大分県豊後高田市新町936-4 |
アクセス | JR宇佐駅から車で約20分 大分空港から車で約60分 |
営業時間 | 11:30~14:00 |
定休日 | 火曜日、水曜日 |
平均的な予算(昼) | ¥650~¥2,500程 |
平均的な予算(夜) | |
予約 | |
クレジットカード | 不可 |
個室 | なし |
席数 | 4人テーブル×2&2人テーブル×1、4人テーブル×2 |
駐車場 | あり(店の駐車場:約4台分、近くに市の大駐車場) |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 有 |
ホームページ | なし |