美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　高級感漂う「老松町」に三重から突如、移転してきた「荒凡夫」。 この辺りは蕎麦の老舗も多い激戦区、それを覚悟し移転地にわざわざこの場所を選んだ店主の心意気が感じられる。 

　「蕎麦三昧ざる」、二八・十割・粗挽き十割の3種のざるを半人前ずつ三枚頂ける「蕎麦三枚」ならぬ「蕎麦三昧」

　　 
　
　注文を受けてから、規定量をスケールでしっかりと計る店主の後ろ姿に、「そばオタク」という敬称をつけたくなる雰囲気。 時間はかかるが、待つ客は誰も文句は言わない。むしろ、その振る舞いを愉しむ余裕が客の方にも感じられる...。 

　まずは「二八」 ソリッドなエッジの立った端正な面持ち。蕎麦の風味も、舌に触れる食感も、とても綺麗な印象。所謂コシのあるシコシコ感がしっかりと感じられて嬉しい。 つなぎの小麦粉感はほとんどしない...。

　続いて「十割」 これは、二八の蕎麦感をグッっと濃くした印象。あまり、十割ならではの「ホロっとほどける」感じはしないものの。その香りは口中に拡がる逸品。

　ほどよいタイミングを見計らって出てきた「粗挽き十割」おお！星の立った粗挽き感！ なんと、手挽きの粗挽き十割とな？ むせかえる程、襲ってくる野趣味あふれる香りに酔いしれる。

　そんな蕎麦の三昧感に浸りながらも、まだまだイケる...と鴨汁を追加。 この鴨、かなり良いかも？テープルの薬味、山椒・黒七味は、ちゃんと京都・原了郭が置いてあり、それらが絶妙に合う！ ここも、毎日でも伺いたいお店です。

　 2016ミシュラン・ビブグルマン認定、おめでとうございました。