美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　田園地帯の中に、一際目立つ大きな古民家風の蕎麦屋があります。
　
　ここ鹿沼市は、「そばの郷」としても有名で、特に特産のにらを使用した「にら蕎麦」は、郷土蕎麦として広く知られています。

　店内は、広く重厚感のある佇まいで、囲炉裏もあり、古民家に相応しい情緒満点の造りとなっています。

　囲炉裏近くの席に座り、悩むことなく「にら蕎麦」（800円）を注文。暫し店内をじっくり観察しながら待つことに。
　この店の蕎麦は、地元産の蕎麦粉を使用し、脱皮した蕎麦と黒皮の玄蕎麦を含んだもので、青竹打ちによる二八蕎麦です。また水は、地下から湧き出る岩盤岩清水を使用しているとのことです。

　極薄に延ばした麺体をやや幅広に切った蕎麦は、つやとコシがあり、香りもしっかりしています。にらは、蕎麦の上に載っているので、混ぜて食べることも、別々に食べることもできるので、好みに応じて食べ方を変えることができます。

　食べる前は、にらの癖に蕎麦が負けるのではないかと思っていましたが、意外と相性が良く、にらの甘味が蕎麦を優しく包んで美味しさを増しています。つゆは、鰹節の他、椎茸と昆布を加えたもので、深みがあり、にら蕎麦にはちょうど良い味と濃さでした。

　最後に、薬味の葱と山葵を加え、蕎麦湯を美味しくいただきました。

　そして、古き良き田舎の暮らしの雰囲気を十二分に味わいつつ、店を後にしました。