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かんだやぶそば(神田)(東京都

これぞ江戸 これぞ藪 「かんだやぶそば」(神田)
レポート提出者:そばのみさん

takayabu01.JPG 2013219日の火事で店舗を消失し営業を中断していた老舗が、20141020日に営業を再開した。その一ヶ月後の1120日、やぶそばの開店時間は11:30であることを事前に調べ向かった。店を望める所まで行くと長い行列が目に入った。最後尾に並び、時間を確かめると11:35である。

 開店が遅れているのかと店の中を窓越しに覗き見ると、席は既にうまっている・・・卓上に料理は見えない。時間的に、お客が案内されたばかりのところだろう・・・しばらく待ちそうだ。

 takayabu04.JPG東京は一昨日あたりから冬到来。今日は曇り空、風もあり、空腹にはこたえる寒さ。しかしながら、ここに来るのは江戸の粋な客人達である。"そばはスッと食ってサッと店を出る"粋な行動を取る客が多く回転が良い。もちろん、"そば前"を楽しんでいる客もいるが少数だ。思ったほど待たず店内に入れる。
 花番に「カウンターでよろしいですか?」と問われる。一人なので何の問題もないから、良い旨伝え案内された席に座る。そこは帳場に一番近く、帳場から「膳立てへのお通し」、「客への礼」の声が間近に聞こえる。そのリズムは語尾を伸ばす独特な言い回し。客への礼の言葉「ありがとう存じますぅ~」は耳に残る。タイムスリップしたかのような異空間が広がる。また、板場の仕事も垣間見える。ここは私にとっての特等席である。

 takayabu02.JPG注文は入店を待っている間にH.P.から確認して、"かけ"と"せいろう"に決めていたので席に座るや否や済ます。すかさず花番が、「一緒に持ってくるか、時間差を取って配膳するか」聞いてくる。店の混み具合から時間差を付けるのは花番を忙しくさせる"野暮な注文"だと、瞬間的に「一緒に」と言う。そばが来る間に店内を観察する。帳場はお代を払うお客で大忙し。「ありがとう存じますぅ~」のレトロな音がひっきりなしに聞こえ、厨房では膳立がキビキ動いている様子が見える。 

 そばが来る。すぐに来たが、それはそれは待ちどうしかった。(火事から再開までの1年半待ったのだから・・・)

 takayabu03.JPG"かけ"は、良い香の醤油色の汁の中にそば一本一本がのびのびと泳いでいて、旨さが見て取れる。"せいろう"はそばの緑色が際立つ。そば一本一本の湾曲具合から腰の素晴らしさが伺われる。そのしぐさは美しい。
 緑色の秘密はクロレラを練り込んでいるからで、それは無味無臭でありながら、最高のそばの色を出すことができる素材だそうだ。

 "かけ"はまだ熱い、"せいろう"から頂く。汁は醤油が立っているが、塩っぱすぎることなく柔らかく仕上げている。これぞ藪系の汁だと教わる。(以前の汁より甘くなった気がしたが・・・)そばを浸す量は取ったそばの丈の1/3程度が良いだろうと判断する。
 次はそばだ。何も付けず頂くと、喉ごし良く、スッと体に入り溶けていく。薬味のネギは極細の小口切り、水にさらした丁寧な仕事をしたもので、そばの引き立て役として最適に調理されている。山葵は本物で、辛味甘味がとても良い。
 そばを汁につけて頂くと調和の素晴らしさがたまらない。途中、一口量に取ったそばに山葵を適量乗せ頂くと、さっぱりとした味が口に広がり素晴らしい。これが江戸の"藪そば"だと教わる。

 "せいろう"の余韻をしばし楽しみ、次に"かけ"を頂く。それはまだ熱く、数本を箸で取り、口へ入れつつ吸う空気で冷ましながら啜る。こちらも旨い・・・「旨いなぁ~」と思わず言葉が出る。シンプルで、暖かく、腹に染み、心が豊かになる。この時期暖かい汁が特に良い。     

 そば湯が運ばれてくる。なんという良いタイミングだ。花番が出すべき時期を見定めているのだろう。現代に有りがちな、経済効率を最優先した接客とは違う、流石老舗の客に目線を置いた接客だと感心する。汁が2/5程残ったそば猪口にそば湯を入れ頂く。何とも言えず旨い。半分ほど飲んだところで、そば湯を足し、ネギ、わさびを適量入れ頂くと、味の変化が楽しい。

 今回神田藪そばに来てこの空気の中でそばを頂いたことで、私がそば好きになった原点の落語で語られる"そばは粋に食べるもの"を実践として学んだ店であることを再認識した。飲み物の品書きにもそれが現れている。そこには日本酒一種類、焼酎はそば、芋、米、麦それぞれ一種類、ビール、ジュース類も種類は一種類。
 そばを待つ間に、飲みたいものの種類を頼み店が責任もって出すものをグッと飲んで、そばをスッと食ってサッと店を出る、客を粋に仕立てる品書きであろう。そういえば落語に「俺はそば屋に入り注文し、そばが出てくる前にお代を払い店を出る、ここらで一番粋な人間さ」との粋を語る話があったなぁ~

店名かんだやぶそば(神田)
電話番号03-3251-0287
住所東京都千代田区神田淡路町2-10
アクセス地下鉄 丸の内線淡路町駅 A3出口から徒歩約3分 JR秋葉原駅から徒歩約10分
営業時間11:30〜21:00(LO=20:30)
定休日水曜日
平均的な予算(昼)670円~3500円程
平均的な予算(夜)670円~3500円程
予約不明
クレジットカード不可
個室無し(2階もあるようだが、詳細不明)
席数多数
駐車場なし
禁煙禁煙
アルコール日本酒=菊正宗 焼酎=そば×1、麦×2、芋×1 ビール=エビス
ホームページhttp://www.yabusoba.net
35.6971278,139.76838299999997

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