ネットで検索中に偶然ヒットしたお店。奇妙な名前に興味をひかれた。ホームページには、アクセスの方法と地図と「予約で満席です」と書かれた日記のようなページがあるだけで宣伝めいたものは何も載っていない。伝えたいことだけを伝える、休みたい時に休む、開きたい時に開く、そんな感じだ。
前々日に予約を入れると、相席で良いなら、ゆっくり蕎麦前を楽しんでくれるなら、との条件で受けてくれた。「注文の多い料理店」のようなそば屋だ。
神田須田町交差点を靖国通りに沿って10メートルほど進み、一つ目の通りを右に入って10メートルほど行った右手に幅1メートルほどの細い路地がある。路地のはいり口に屋根付きの背の低い門枠が嵌め込むように取り付けられており、柿色の無地の暖簾が掛けてある。この門をくぐって5メートルほど入った路地奥にお店がある。まさに「酒ノ香ハ巷子ノ深キヲ怕レズ」だ。
民家のような玄関の引き戸を開けると小さな叩きになっており、靴を脱いでから素足で板敷に上がり、指定されたテーブル席に着いた。民家のようなではなく、本当の民家を改造したお店だ。
ジーパンとTシャツ姿の年若い主人が、注文を受け、料理を作り、お酒を出し、予約電話の受付をしている。何から何まで一人でやるので、席数分以上のお客の受け入れはできない様子だ。
しばらく待つと、オカラの炒り煮のつきだし(無料)をテーブルに置きながら注文を取ってくれた。キリンのハイランドビールとネットのグルメブログが推奨していた自家製豆腐、牛肉と大根のバーボン煮、梅クラゲ、それから二種盛そばを一気に頼んだ。お酒と蕎麦前の料理は待たせずに出てきた。どれも美味しい、特に豆腐は絶品で子供の頃に家で作った豆腐の味を思い出した。
蕎麦前の酒と料理を堪能してそろそろと思った頃に、蕎麦が出てきた。このタイミングが頗る宜しい。
本日のそばは、北海道産と埼玉県産の二種類であると教えてくれた。一枚目は北海道産であったが、蕎麦前のお酒が入り料理でお腹がくちくなっていたので麺の色や香りや形状の観察を省いて一箸つまんでみた。
腰があり、歯切れが良く、香りもすばらしい。十割蕎麦と聞いていたが、ぼそぼそしたところは少しもない。うまい。食べ終わると直ぐに二枚目が出てきた。今度は埼玉産の蕎麦。これもうまい。あっと言う間に平らげた。量はそれほど多くはなかったが、いつものような物足りなさは残らなかった。
蕎麦前に充分な時間をかけて愉しみ、最後にそばをたぐってしめる。そんな江戸の粋を教えてもらったような気がした。
店名 | 眠庵(ねむりあん)(神田) |
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電話番号 | 03-3251-5300 |
住所 | 千代田区神田須田町1-16-4 |
アクセス | 東京メトロ丸ノ内線淡路町駅A1出口より徒歩4分 |
営業時間 | 18:00~21:30 |
定休日 | 日曜日、祝日 |
平均的な予算(昼) | 3千円前後 |
平均的な予算(夜) | |
予約 | 可 |
クレジットカード | 不可 |
個室 | なし |
席数 | テーブル席10席 カウンター席4席 |
駐車場 | なし |
禁煙 | 禁煙 |
アルコール | 日本酒、焼酎、ビール |
ホームページ | http://www.nemurian.net/ |