美味しい蕎麦をもっと愉しむための蕎麦情報ウェブマガジン

　今回、初めての山形でしたので地元の方に有名なそば店を伺い、山形市のお隣の天童市にあります「水車生そば」さんを訪問しました。大型バス専用の駐車場を備え、客席も300席の大型店ですが、入り口すぐに蕎麦の打ち場があり、営業時間中も職人さんがそばを打ち続けています。店としては十割手打ちにこだわっているようです。 

　このお店はまかないとして作っていたお蕎麦屋さんの作る中華そば(もはや山形名物になっています)がＴＶで紹介され、それを目当てのお客さんが多く、昼時お店の７割は中華そばを注文していました。そちらにも魅力は感じましたが、入り口の打ち場で真剣にそばを打っていた職人さんの顔が浮かび、鴨そばを注文。ほどなくお蕎麦が運ばれてきました。 

　少し澄んだ出汁に、黒っぽく太目の麺が浮かんでいます。まずはお蕎麦から．．．今まで細い更科系ばかり食べていた私にとって、それは初めての経験でした。十割手打ちですが、麺はしっかりとした硬さを感じ、噛むとモチモチとした食感です。この太さだと口の中でしばらく噛むように食べないといけないので、喉越しで楽しむそばとは別物です。
　出汁は甘目の味付けで、鴨のうま味も加わり口の中に蕎麦がいる間、舌を楽しませてくれます。茹でる事もこの太さで十割ですから大変だと思いますが、丁度良く熱が入っています。鴨も柔らかい肉質で(多分国産の合鴨)美味しくいただきました。

　さすがそば処山形。観光バスのとまる大型店でクオリティの高い手打ちそばがいただけます。驚いた事に温そばであるのに、食べ終わるまで蕎麦が切れていない。十割手打ちでこの麺の強さは何か秘密があるに違いない。次回また再訪してその秘密を探りたいと思いました。